二十四節気コラム
このコラムは、山田先生の園芸セラピー講習の講義を基に作成してます。
各節気の特色と『二十四節気ガーデン』の見頃の植物をご紹介。
山田幸子
グローバルゲート名古屋『二十四節気ガーデン』のデザイン。園芸研究家。千葉大園芸学部卒業。日本ガーデンデザイン専門学校講師。著書『12カ月花づくり庭しごとガーデニングカレンダー』講談社、『わたし流83の花づくり』家の光協会、『二十四節気でわかる園芸作業』主婦の友社、『決定版はじめての花づくり』講談社など。
So Ko
霜 降
露が霜になる
節気の植物
2017 10/23-11/07
ツワブキ(艶葉蕗)
霜降
日本原産 キク科の常緑の宿根草 開花は10月下旬~12月
葉がフキに似て、厚くつややかな光沢があるので「艶葉蕗(ツヤバブキ)」、これが変化してツワブキ。
一年じゅう青青とした葉を茂らせます。ツワ、イシブキ、イソブキとも呼ばれます。
本州の福島県・石川県以西の海岸沿いの岩の上、低地から山地の日陰などに群生地が見られます。
古くから、人々の暮らしの中に生き続けている花で、若い葉は摘み取って塩ゆでにして食用に。ただし灰汁があるので、かなり手間がかかります。
九州名産の佃煮「キャラブキ」は、このツワブキの葉で作られます。
江戸時代に斑入り葉などの園芸品種が生まれ、庭にもよく植えられます。常緑の葉は和の趣を演出し、日陰にも日なたにも使える、花が少なくなる晩秋に咲いてくれるなど、魅力がある花です。
キチジョウソウ(吉祥草)
霜降
日本、中国原産 キジカクシ科 常緑の宿根草
開花期:10~11月 結実期:11~12月
古くから庭の日陰などに植えられています。
花が咲くとその家によいことがあるというのでつけられた名が吉祥草。縁起物の花として喜ばれます。
花弁は外側がピンク、内側が白。開花すると蕾の時と花のイメージが変わります。花後の実も初冬の庭に映えます。
クミスクチン(ネコノヒゲ 猫の髭)
霜降
インド~マレー半島原産 シソ科 宿根草(非耐寒性) 開花は6~11月
長く伸びた雄しべと雌しべがやや上向きにピンとそり反る姿がネコのひげを連想させるところから名づけられました。マレー語でクミスは髭、クチンは猫。英名はキャッツウイスカー。薬用ハーブで、葉に利尿作用や血圧を下げる効果のある成分を含み、健康茶の一種「クミスクチン茶」の名で出回っています。
フジバカマ(藤袴)
霜降
中国原産 キク科 宿根草 開花は10~11月
古い時代に渡来し、関東以西の川辺の草地などに分布しましたが、野生のものはもはや絶滅状態。
フジバカマとサワヒヨドリの雑種がフジバカマの名で出回ります。
キク科の花ですが、舌状花はなく、筒状花のみ。
萼のようにみえる総苞が袴の形をしているので、フジバカマの名があります。
別名はアララギ、香草(こうそう)、蘭草(らんそう)。本来のフジバカマは生乾きの茎葉にクマリンの香り(桜餅の葉の香り)があり、平安時代の貴族は衣にこの香りを移して楽しみましたが、現在出回るフジバカマには香りはありません。
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露が冷気にあたり霜になる頃
実際に霜が降り始めるのは、平均して、札幌10月25日、長野10月28日。北国の霜が降りはじめる頃をいい当てているようです。多くの地域は11月になってからですし、名古屋11月27日、東京は12月20日と、かなり先です。しかし、秋も深まり、北国から、山々から紅葉のたよりが届きます。
霜とは、空気中の水蒸気が地表や物に接触して昇華(気体が固体になる)し、白色の氷片を形成したもの。気温が5℃以下で、晴天無風だと、放射冷却により地表近くは0℃以下になり、霜が降ります。